2018年10月時点の住宅・土地統計調査によると、国内の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の13.6%。
戸数は最多の846万戸になりました。
諸外国と比べ、ドイツの空き家率は1%程度、イギリスの空き家率は3~4%程度と低水準にあることから考えると、日本の空き家の
多さ、比率の高さは群を抜いているが、残念ながら今後も日本の空き家数は、今後加速度的に増加することが予想されています。
その理由は大きく2つあります。
一つは、圧倒的な需要減です。
国土交通省がとりまとめている「国土の長期展望」によれば、日本の総人口は2050年には9515万人となり、
ピーク時の04年12月と比べ 約3300万人減少するとされています。
高齢化率は約20%から約40%になると推計されています。
もう一つは、過剰供給です。
野村総合研究所は、15年後の33年に空き家数は2000万戸を超え、空き家率は30%以上になると推計しています。
空き家は、いわゆる「外部不経済」をもたらします。
放置された空き家は、「治安の低下」や「犯罪の発生」を誘発し、「防災機能低下」、雑草繁茂や病害虫の発生等の「公衆衛生の
低下」、さらには「景観の悪化」や「地域イメージの低下」など、周辺住民の生活環境に悪影響を及ぼしかねません。
そして、こうした外部不経済は、結果として「住宅価値の低下」と「街の価値の低下」につながり、経済・社会問題を
生み出すことになります。
ところで、空き家を放置している所有者は、どういった意向を持っているのでしょうか。
価値総合研究所の「消費者(空き家所有者、空き家利用意向者)アンケート」によれば、空き家のうち、売却や賃貸等を検討して
いるのは24%に過ぎず、71%の人は特に何もせずに所有しているだけということが分かっています。
そのなかで、空き家を管理すらせず放置しているという人も12.8%います。
その内訳は、一戸建てが74.1%と大半で、立地は農山漁村地域や郊外よりも市街地や市街地周辺のほうが60.3%と多いです。
これは、空き家が既成市街地や郊外の市街地で発生する傾向が高く、相続の問題などにより適正な管理がなされなくなることも
多いためと読み解くことができます。
実際のところ、空き家問題は何も地方に限ったことではありません。
放置された空き家が「崩れる」「放火など犯罪の温床になる」、ひいては「街の価値を毀損する」といった懸念が、
東京23区内でも広がっています。